2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧
「イカの哲学」とは、波多野一郎氏の論文であり、それに感銘を受けた中沢新一氏が紹介し、自らの平和論を展開している。 波多野氏は、満洲に配置された特攻隊員であり出撃直前に敗戦となり、そこからシベリアへ抑留され、帰国後、アメリカへの留学をする、と…
著者の小松和彦は民俗学者であり、「妖怪」や「憑依」「鬼」といったテーマの著書がいくつもある。 そういったテーマを通して、共同体の深層を探り出そうとしている。 この本では、「靖国問題」が話の発端である。 しかし、政治家が特定の神社に参拝すること…
満洲国に関する様々な本は出版されているが、この本は当時の写真や広告といった資料から、架空の旅行として再構成している。 正面立って政治問題や、歴史問題として論じるのではなく、言うならば裏側(むしろ側面か?)から、「満洲国」の姿を捉えようとして…
文芸評論にちょっと触れたことがあれば、吉本隆明の名前は耳にしたことはあるだろう。 私にとっての吉本隆明との出会いは、角川文庫の「共同幻想論」であり、高校生の脳味噌にはちょいと難しすぎた。 それでも、読み続けてしまったのは、やはり見ないふりを…
「ニュー・ローズ・ホテル」は成田空港の傍の荒れ地にある、簡単な足場が付けられたカプセルホテルの残骸でできた、まるで棺桶のようなホテルだ。 主人公は敵に追い詰められ、残された時間ももうほとんどない。 思い出のこのホテルで、いなくなった女の持ち…
どうやってこの本に辿り着いたのかはもう覚えていない。 藤枝静男という名前を、学校の授業では聞いた覚えがない。 私小説と言われる分野に興味はなかったので、作家の系譜のようなものから辿り着いたとも思えない。 だがともかく、この本に辿り着いてしまっ…
フェルナンド・ペソアは20世紀初頭のポルトガルの詩人である。 ペソアは異名を使いさまざまな詩を書いた、と言うよりは、異名のそれぞれが独立した人格であり、ペソアは彼らの名前で詩を発表した。 その詩のスタイルは、同時代の前衛芸術運動のスタイルを踏…
良く知られている都市伝説に、「達磨」というのがある。 様々なヴァリエーションがあるが、こんな骨子である。 ・何人かで旅行に行く ・その中の一人が現地で洋服店の試着室に入る ・残されたメンバーがいくら待っても、その一人は帰ってこない ・店員に聞く…
この本もまた図書館で借りた本である。 実は池波正太郎の本を読むのはこれが初めてだ。 今まで何人かの友人が薦めてくれたり、テレビで「鬼平犯科帳」を観た事もあるのだが、正直なところ、時代小説に食指(読指というべきか?)は動かなかった。 では何故、…