雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

詩の力/吉本隆明

久しぶりに読み返してみる。 晩年の吉本隆明の日本近現代詩の解説である。 口述筆記のおかげか、平明で分かりやすい言葉が選ばれていると思った。 必ずしも年代順に系統立てて紹介しているわけではないが、話の流れのようなものはある。 現代の(とは言って…

文藝百物語/井上雅彦、田中文雄、森真沙子、加門七海、菊池秀行、篠田節子、霧島ケイ、竹内義和

怪談というのは、聞いている人の感情に訴えかける、古来のエンターテインメントであり、語りの力が影響するものだろう。 百物語とは怪談を持ち寄り、一話話す毎に蝋燭を一本づゝ消していき、やがて百本目が消えたとき怪異が出現する、という。 都内某所と伏…

ドラえもん最新ひみつ道具大事典

だいぶ前に買ったのだけれど、時々拾い読みしては止めていた。 ようやく読み終えた。 ドラえもんに登場するひみつ道具の解説本であるが、ほとんど忘れていた。 荒唐無稽なのが多いが、当時の社会情勢を反映したかのようなものが、たまに混じっている。 ドラ…

デュシャンは語る/マルセル・デュシャン、ピエール・カバンヌ

1960年代に行われたマルセル・デュシャンへのインタビュー本である。 何度か読んでいるが、内容を覚えていないのは、物覚えが悪いからだろう。 ブルトンのシュルレアリスムと距離を持ちながら、網膜的ではない美術を目指すデュシャンもまたシュルレアリスト…

死の海を泳いで/ディヴィッド・リーフ

息子であるディヴィッド・リーフ氏によるスーザン・ソンタグの臨終に至る回想である。 臨終記というと花屋日記が思い浮かぶが、こちらは感傷的な記憶の記録のようなものだと思った。 この本からソンタグの思考を読み取ろうとするなら、確率で人生を決めては…

他者の苦痛へのまなざし/スーザン・ソンタグ

本に呼ばれる、という感覚がある。 読みたいな、というのではなく、あ、これは読まないといけない本だ、と思ってしまう感じに近い。 読まなければいけない、というのは義務でもないし、何かタスク的なものでもないが、切迫感はある。 オカルトっぽい「呼ばれ…

酒宴/残光 吉田健一短篇小説集成

久しぶりに吉田健一の小説を読む。 どこかで読んだことのある短篇も、初めて読む短篇もあった。 回りくどい言い回しと、うねうねと蛇行するような話の筋は、吉田健一ならではだ。 謎の外国人の話、酔っぱらいの話、旅の話、どの話もちょっと変で、ちょっとユ…

ふたご/藤崎彩織

エッセイに引き続き小説の方も読んでみた。 小説の設定と作者の状況が、どうしても近いように思えてしまうのは、作品にとってデメリットだと思うのだが、どうなのだろう? 作品の出来をどうこう言うつもりもないし、作品世界と作者の置かれてる環境を重ね合…

低空飛行/原研哉

ラジオで紹介していたので、借りてみた。 元はWebサイトらしい。 日本を再評価し、観光業、ホテル業をリデザインする、という内容だと思った。 有名なデザイナーらしく、無印良品の家なども手掛けていることも知った。 だが正直なところ、この本の前半部分の…

ねじねじ録/藤崎彩織

気になったので借りてみた。 SEKAI NO OWARIのキーボーディストとして知ってはいた。 まだバンドが、世界の終わり、という名前だった頃に、一枚だけアルバムを聴いた。 好みではないけれど、すごいなぁ、とは思ったっけ。 そのメンバーであるSAORI氏は、ブロ…