雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

夜なき夜、昼なき昼/ミシェル・レリス

ミシェル・レリスを知ったのは、おそらくこの本だっただろうか。 出版年を見る限り、シュルレアリスム、或いは、バタイユからの流れで名前を知ったのかもしれない。 或いは、「闘牛艦」から辿って来たのかもしれない。 だから、民族学の名著と言われる「幻の…

エバは猫の中(ラテンアメリカ文学アンソロジー)

ラテンアメリカという括りで文学を語ってしまうことにどれだけの意味が在るのか。 だが、世界文学に対して、各国の違いを明確に語れないのだから、ラテンアメリカという括りで見たほうが理解しやすい、って事もある。 そもそも、世界文学って言ってる時点で…

両手いっぱいの言葉―413のアフォリズム/寺山修司

何となく寺山修司の言葉に触れたくなった。 この本は寺山修司の様々な著作から選び出された「気の利いた言葉」が、ローマ字でのアルファベット順のテーマに沿って並べられている。 意図したのか偶然なのか、「愛」に始まって、「夢」で終わる。 それぞれの言…

怪談・奇談/ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)

怪談とは、怖がらせるというエンターテイメントである、と仮に定義してみると、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の怪談は、異なるような気がする。 集められた話は、非日常的であり、気味の悪い話ではある。 だがそれ以上に、人々の思いにまつわる話である…

熱帯のシトロン/松本次郎

時代設定としては、ベトナム戦争の頃、'60後半〜'70前半辺りだろうか。 自称カメラマンだが、ドラッグでラリって、女と寝て、借金取りに追い回されている主人公・双真が、謎の女・魔子に誘われるように三月町へと迷い込む。 そこは、人々は『ウサギ』に魂を…

Xへの手紙・私小説論/小林秀雄

以前は持っていたはずだが、いつだか手放した覚えがあったので、図書館で借りて読んでみる。 この本は、大正末期から昭和初期にかけての創作と、昭和初期から昭和30年代頃までの批評からいくつか拾い集めているようだ。 つまり、50年から70年前の文章である…

新編日本の面影/ラフカディオ・ハーン

日本について考えることは難しい。 飛行機に乗れば、離陸していくにつれて、住んでいる街が小さく遠ざかってゆく。 そこに見えるのは日本の街であるに違いない。 例えば、中国人の友人と話していると、日本人である自分を意識する。 だが、自分にとって日本…

夜のミッキー・マウス/谷川俊太郎

何で詩を読むの、とか、詩は何が面白いの、とか聞かれても、答えようがない。 時々、詩を読みたくなるのだし、面白くないものなど読もうとは思わないだろう。 ふと本屋でこの詩集が目に留まったので買ってみた。 別にミッキー・マウスが好きなわけでもない。…

第一阿房列車/内田百けん

目的もなく旅に出る。 旅というよりはただ列車に乗る。 現代で言うところの「乗り鉄」に近いのかもしれないが、目的があってはならない。 「阿房と云うのは、人の思わくに調子を合わせてそう云うだけの話で、自分で勿論阿房だなどと考えてはいない。用事がな…

さらば、ISIS本座

ISIS本座が9月いっぱいで、サービス終了とのお知らせが届いた。 Web上で本棚を作れること、本好きのコミュニティ的な要素を期待して利用していたのだが、登録から1年余りで閉鎖とはいささか残念ではある。 コミュニティについては、もとからまめでない質な…

おぼれる人生相談/松浦理英子

ふらりと寄った古本屋で、久しぶりに松浦理英子の名前を見つけたので購入した。 雑誌に連載していた人生相談らしい。 世の中には様々な人がいて、それぞれの事情があって、いろんな悩みを抱えている。 そういえば、人生相談というものが苦手だった、というの…