随筆
西東三鬼の名前は、現代俳句を漁っていた頃に知り、戦前の京大俳句事件や、現代俳句の表現を知るきっかけとなった一人である。 とはいえ、朝日文庫の「現代俳句の世界9 西東三鬼集」を読みかけた程度で、深く掘ってはいなかった。 そもそも現代俳人の句集が…
吉田健一の娘さんの本があると知り読んでみた。 生前の吉田健一を知らないが、語られる姿は文士というよりは、サラリーマンのようだと思った。 もっと破天荒だったり桁外れなところがあるのが文士だという読者の勝手な想像とは異なっている。 恐らく家族の目…
「日々是怪談」を加筆訂正の上、改題した本だという。 工藤美代子氏の本はこれが初めてである。 ノンフィクションという分野にあまり食指が動いてないせいだと思う。 フィクションでない文章なんてない、と思っているから、正面切ってノンフィクションと言わ…
気になってた吉田健一のエッセイ集を読んだ。 恐らく様々なところに発表された、ちょっとしたエッセイを再構成したもののようで、同じタイトルのエッセイが並んでいたりする。 それはともかく、人生処方とは何だろう、人生訓みたいなものだろうかと想像して…
この本もまた図書館で借りた。 高橋幸宏氏、坂本龍一氏の逝去に伴って、村井邦彦氏の動画やYMO結成秘話的なエピソードが溢れたように思う。 そんな中で、川添象郎氏の名前を知り、この本を知った。 川添象郎氏のエピソードについては、Wikipediaを始め様々に…
久しぶりに読み返してみる。 晩年の吉本隆明の日本近現代詩の解説である。 口述筆記のおかげか、平明で分かりやすい言葉が選ばれていると思った。 必ずしも年代順に系統立てて紹介しているわけではないが、話の流れのようなものはある。 現代の(とは言って…
ラジオで紹介していたので、借りてみた。 元はWebサイトらしい。 日本を再評価し、観光業、ホテル業をリデザインする、という内容だと思った。 有名なデザイナーらしく、無印良品の家なども手掛けていることも知った。 だが正直なところ、この本の前半部分の…
気になったので借りてみた。 SEKAI NO OWARIのキーボーディストとして知ってはいた。 まだバンドが、世界の終わり、という名前だった頃に、一枚だけアルバムを聴いた。 好みではないけれど、すごいなぁ、とは思ったっけ。 そのメンバーであるSAORI氏は、ブロ…
とある場所で紹介されてたので読んでみた。 2,000日は6年弱、友人?の家に居候しながら、考えを巡らし、何かを試みる、という記録のような、随筆のような得体の知れない本だ。 なにかの目標に邁進するのではない。 また、真似したいとも思わない。 だが思考…
何となく気になっていたので、図書館で予約していたのだけれど、酔っぱらって寄ったブック〇フにあったので買った。 小説もそうだったが、若い頃の焦燥感みたいなものと、諦念のようなものが、上手いバランスで表れているように思った。 全然違う人生なのに…
山田風太郎の名前は聞いたことはあっても、実際読んだことは今までない。 推理小説や時代小説が好きだったら通る道なのかもしれないが、ちょっと昔の大衆小説という気がするので、最近の若い人たちも読まないのかもしれない。 いきなり物語の世界に飛び込む…
何もない日の午後に読みたい本は何だろうかと本棚を眺めて手に取った。 買ったのは1998年12月31日の旭屋書店銀座店。 なぜ分かるかというと、レシートが挟んであった。 今はもう無いらしい。 四半世紀前に買った本だったが、書かれたのは更に20年ほど前の197…
タイトルの通り、村上春樹氏が所有しているTシャツを紹介する雑誌の連載をまとめたもの。 Tシャツの写真にそれぞれのエピソードやらちょっとした小ネタの文章が添えられている。 軽く読める本。 あとがきは野村訓市氏が聞き手になってインタビューしている。…
久しぶりに村上龍氏のエッセイを読む。 「すべての男は消耗品である」を手に取ったのは、大学生の頃だったかと思うと、かれこれ約30年前である。 その間も村上龍氏の文章は見かけたこともあると思うが、あまり記憶に残っていない。 小説は何冊か手に取った。…
引き続き、西村賢太氏を読んでみる。 江戸川区の出身で、たぶん歳は少し上、バブルや東京の西とは距離のある感じで、なんとなく近しい感じがする作家が、どんな東京を見ていたのか気になった。 取り上げられている町、語られる言葉、どちらも私小説作家らし…
何となく図書館で手に取ってみた。 橋本治氏からの太宰治氏、という訳でもない。 そんな駄洒落で読む本を選んでいたとしたら、それはそれでちょっと自分を見直したい。 恐らく生涯で読む太宰治の5冊目ぐらいの感じだと思う。 あまり好きではないどころか、…
ふとした瞬間に、橋本治氏のことを思い出したので、図書館で借りてみた。 10代から20代前半までの頃に読んだが、それ以降は全く手に取らなかったので、およそ30年ぶりだろうか。 現在はどんな活動をしているのかと思ったら、2019年に逝去されていた。 今更だ…
気になったので、図書館で借りてみた。 ジョークとは何だろうか、ということを考えていて、アメリカンジョークが有名だけれど、ロシアンジョークはあるのかと思ったら、そんな本があった。 要するに、それぞれの歴史や慣習、有名人をネタにするのが、○○人ジ…
一言で言うなら、ふざけた本である。 酒呑みによる、酒呑み中心の論理で書かれたエッセイだ。 たぶん、酒を呑まない人からしたら、屁理屈、こじつけ、言いがかりに見えるかもしれないが、酒を嗜む身からしたら至極真っ当な話ばかりである。 当然、酒を嗜むの…
ふらっと寄ったブッ〇オフで購入。 キヨシローが亡くなったのは2009年だが、当時はほとんど聴いたりはしていなかった。 RCサクセションを知ったのは、小学生の頃にタモリのラジオで聴いた「トランジスターラジオ」だったと記憶している。 この本は、キヨシロ…
気になったので図書館で借りてみた。 コーヒーの歴史から、江戸時代の長崎におけるコーヒーの伝播、そして近代のカフェまで網羅的に言及している本である。 長崎まで行き文献に当たったり、訪日外国人のコーヒーに関する記述、海外漂流者のコーヒーに関する…
何となく気になっていた本を元旦に注文した。 それが1月2日に届いてしまい、ちょっと吃驚したのだが。 細野晴臣氏の文章は、おっと思うことも、ちょっと怪しいなぁ、と思うことも同じレベルに書かれていて、冷静に読んでしまう。 例えて言うなら、今の精神状…
気になったので買ってみた。 ミュージシャンであり、Youtuberのみの氏による、20世紀ポップスの概論とでもいう本。 LeadbellyやThe Byrdsが取り上げられていたり、同時期の邦楽の動きがコラムとして挟み込まれていたり、90年代以降のグランジや、音楽フォー…
何となく読みたくなって、古本で購入。 ルネサンス以降、近代の哲学を見直す必要がある気がしている。 おそらく、ポストモダニズム的な思考を抜けて、前近代的な位置に戻るのか、ハイパーモダニズム的な位置にまで突き進むのかと考えると、もう一度、ヒュー…
読もうと思ってる本のリストにあったので図書館で借りてみた。 自然に対する感覚、耳を澄ますこと、足元を見ること、風を感じること、空を見上げること、そういったものに対するエッセイのようなもの。 短い文章だが、何となく心に残る。 センス・オブ・ワン…
本屋で見かけて買おうかどうしようか迷っていたけれど、図書館にあったので借りてみた。 日本の無人島の紹介と探訪記といったエッセイである。 また、島の写真も美しい。 無人島になってしまう経緯、島民の思い、というところに焦点を当てているのが面白い。…
ふと、川端康成が読みたくなって借りてみた。 あまり熱心な読者ではなかったが、何冊かは読んだことがある。 しかし、名作と名高い「雪国」や「伊豆の踊子」は読んだことが無い。 避けていたわけでもないが、食指が伸びなかったのもまた、事実である。 せっ…
昨年、逝去されたニュースを聞き、1冊も読んだことが無かったことを思い、また忘れていたのだけれど、ふと思い出して図書館で借りてみた。 始めて読むのだからどの本でもよかったのだけれど、何となく朝のラジオで一言の説法をされていたのが懐かしく、タイ…
ふと、川田十夢氏の文章をまとめて読んでみたくなって衝動買いした。 確か2週間ほど前の夜だったと思う。 オンライン書店というのは有り難いもので、注文した数日後にはポストに配達されていた。 TVブロス誌の連載を元にまとめた本だった。 オンライン書店だ…
図書館で何となく借りてみた。 山下清氏の貼り絵は、日本のゴッホとも称されるが、今でいうところのアウトサイダーアートだろう。 恐らく私が生まれる前の頃の事だと思うが、日本中で流行したようだ。 そんな山下清氏が文章を書いていたとは知らなかったので…