雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

随筆

イスラム飲酒紀行/高野秀行

taknalというアプリですれ違った一冊。 禁酒が戒律であるイスラム圏で酒を飲むというエッセイ。 面白可笑しく書かれているのであるが、見えてくるのは文化の多重性であり、異文化に対する無理解だという事が分かってくる。 イスラムとは何か、ということを理…

雀の手帖/幸田文

久しぶりに読み返してみた。 以前読んだ時も思ったけれど、幸田文の文章は昔の東京のしゃべり言葉に近い感じがする。 親の世代というより、祖父母の世代の言葉のようだ。 中盤で後の平成天皇のご成婚の話題が出てくるので、1959年に初出の文章なのだと分かる…

日日是好日/森下典子

久しぶりに読み返してみる。 茶道に関するエッセイである。 他に読んだことが無いので何ともわからないが、茶道とは何かという事ではなくて、茶道で得たものは何かという本なので、評判が良いのだろうと思った。 つまりユーザー目線であるということだ。 そ…

花嫁化鳥/寺山修司

ふとこの本のことを思い出して本棚から取り出した。 寺山修司の書いた紀行文である。 副題に「日本呪術紀行」とあるのは、サービスのような気がする。 日本の奇習、伝承を訪ね紹介する、という態を取りながら、その背後にある人々の姿を浮かび上がらせようと…

人は、なぜ他人を許せないのか?/中野信子

この本もまた図書館で借りた。 順番待ちが50人以上で、予約してから半年近くかかったんじゃないだろうか。 脳科学者による正義中毒についての考察である。 面白いのは発生原因が脳内物質によるものなのに、対応策はそうじゃないという点である。 すべての現…

一〇一年目の孤独/高橋源一郎

高橋源一郎を知ったのは、高校生の頃。 「さようなら、ギャングたち」と、あと何冊かを読んだ記憶がある。 80'sの頃は、こういう小説が新しくて、なんだかすごいと思っていたのだ。 10代から20代の頃の価値判断なんてそんなもので、浅はかな知識と思考で選択…

モンテーニュ 人生を旅するための7章/宮下志朗

最近、モンテーニュ、エラスムス、パスカルといった、西欧近代初頭の思想家が気になる。 中世から近代への転換は、神の視点から人間の視点という変更があったのではないか、と推測している。 だが一括りにそう言ってみたところで、何も考えたり言ったことに…

織田作之助全集

断続的に読み続けていたので、半年ぐらい掛かったろうか。 織田作之助の名前は知っていてもほとんど読んでいなかった。 青空文庫で何篇かつまみ読みしてみたら、案外面白かったので、全集を手に入れてみた。 青空文庫で無料公開しているものが、纏まると有料…

ジョン・ハンケ 世界をめぐる冒険/ジョン・ハンケ

この本も図書館で借りた。 現NianticのCEOで、かつてはGoogle Earthの中心人物であったジョン・ハンケ氏の自伝、というか思い出話。 Field TripやIngressに対する氏の思いが溢れている。 たぶん彼の仕事に興味の無い人には何も響かないだろうか。 ジョン・ハ…

房総の捕鯨/金成英雄

この本も市川の古本屋で購入。 房総半島における捕鯨の歴史をざっとまとめている本。 元新聞記者の方らしく、文章は読ませる。 漁民が紀州からやってきて千葉に住み着いたという説は広まっているが、そうでは無いという意見もあるらしいことがこの本には登場…

江戸川物語/伊藤晃

市川の古本屋で購入。 流山の作家の方らしい。 自筆のサインと蔵書印が押してあった。 江戸川の名前の由来から始まり、著者の思い出話に遡る。 見たこともないのに、懐かしい感じがするのは何故だろうか。 海を見に、江戸川の土手沿いに下っていく話など、川…

日本いまだ近代国家に非ず/小室直樹

この本もまた図書館で借りた。 元の書名は「田中角栄の遺言」だそうである。 実は小室直樹を読むのはこれが初めてである。 市井の学者と言われるのもなるほど頷ける。 非常に論理的であり、正面切った正論を紡ぐ論客であると思った。 日本が近代国家になりき…

両手いっぱいの言葉/寺山修司

寺山修司作品から抜き出した名言集、とでも言う本。 そもそも寺山修司が好きでは無かったら、たぶん響かないんだろうなとは思う。 色んな作品の断片がテーマ別に再分類されている。 なるほどというものもあれば、そうかな、と思うのもある、 少年少女向けの…

コンニャク屋漂流記/星野博美

星野博美を知ったのは、このブログをはてなに引っ越した頃に見ていた、とあるブログだったと思う。 そのブログがどこだったかもう覚えていないが、おそらく同年代だろうと思われるブロガーが、星野博美にシンパシーを寄せていたのを覚えている。 かれこれ10…

不思議図書館/寺山修司

たぶんこの本を読んだのは、高校生の時だ。 昭和59年の初版である。 確か家の近所の小さな本屋で買ったのだと思う。 古本屋で見つけた珍しい本を紹介していくというスタイルで、サブカル的な話題を回していく。 軽く読めるが、シュルレアリスムやドゥルーズ…

食卓歓談集/プルタルコス

この本は誰に薦められたのか忘れてしまった。 西洋文化におけるエッセイの源流の一つとして位置づけられる「モラリア」からの抜粋版である。 日常の様々な疑問にああでもないこうでもないと話を繰り広げる。 古代ローマの思考なので、いまでは良く分からない…

詩人の食卓/高橋睦郎、金子國義

久しぶりに高橋睦郎のエッセイを読む。 東京を離れ、逗子に引越したいきさつ、そして食に関するエッセイといったところ。 約30年前のバブル期に書かれているためか、詩人のちょっと華やかな交友関係や生活が垣間見える。 詩人の食卓―mensa poetae 作者:高橋 …

父のなくしもの/松田洋子

久しぶりに松田洋子の漫画を読んだ。 Twitterでフォローしていて、この本はぜひ紙で買いたいと思っていたのだが、期限切れになるポイントが大量にあったので電子書籍で購入した。 内容としては、幼い頃の思い出から逝去に至るまでの、ご尊父への回想をつづっ…

書百話/榊莫山

榊莫山という名前を知ったのが、米焼酎のCMであったなんて、お里が知れるというものだろうか。 有名な書家ではあるが、その作品は好みではない。 だが、書に対する考えや、エピソードなどは面白く読めた。 書百話 作者:榊 莫山 出版社/メーカー: 毎日新聞 発…

泥酔懺悔

酔いにまつわるエッセイなのだが、酒を呑まない方の話が多くて、いささか鼻白む。 この本を企画はどういうつもりだったのか、逆に気になってしまう。 酔っぱらいの話は読むものではなくて、聞くものだということが良く分かる本である。 泥酔懺悔 (ちくま文庫…

無趣味のすすめ/村上龍

久しぶりに村上龍のエッセイを読む。 村上龍はビジネスマン的な意味で、小説家だと思う。 つまり、小説家という職業を真面目にやっている感じがする。 この本は雑誌のコラムコーナーが、元のようだ。 だから、分かりやすく、手短にまとめられている。 無趣味…

夜明けのブランデー/池波正太郎

何となく読んでみた。 池波正太郎が気に入ってるわけではない。 たぶん合わないタイプの人のような気がするが、文章は面白い時もある。 そして老いというものがにじみ出ている。 新装版 夜明けのブランデー (文春文庫) 作者: 池波正太郎 出版社/メーカー: 文…

トリエステの坂道/須賀敦子

須賀敦子氏の名前は、アントニオ・タブッキの翻訳者として覚えてはいた。 しかし、作家としての作品に手を取ることもなかったのだが、ちょっと読んでみようかと図書館で借りてみた。 実に不勉強なことなのだが、イタリア在住の後、上智大学で教鞭を執り、日…

<レンタルなんもしない人>というサービスをはじめます。/レンタルなんもしない人

Twitterでアカウントを見かけて、本がでてるので読んでみた。 ネットアカウントの方の本を読むのは2人目だと思う。 いい意味でも悪い意味でもなく、ネットで見たままの本だった。 Twitterで知っている人が、意外な一面とか裏話とか期待しても、ここには知っ…

眠れぬ夜に読む本/遠藤周作

何となく図書館で借りた。 遠藤周作を初めて読んだのは、子供の頃に家にあった孤貍庵シリーズのエッセイだったと思う。 なので、純文学作品よりエッセイの印象が強い。 そんな孤貍庵シリーズのエッセイなのだが、江戸趣味の話や、スピリチュアル系の話が多い…

スコッチと銭湯/田村隆一

久しぶりに田村隆一を読んでみる。 詩と随筆のアンソロジーである。 誰もが田村隆一のように詩を書くことは出来ないが、酒を呑んだり銭湯に浸かったりすることはできそうだ。 スコッチと銭湯 (ランティエ叢書) 作者: 田村隆一 出版社/メーカー: 角川春樹事務…

街場の現代思想/内田樹

随筆ばかり読んでいると、論理的思考ができなくなるような気がして、とはいえ急に堅い人文書に手を伸ばすほどでもなく、ちょっと堅めの随筆を選ぶ。 内田樹はレヴィナスの翻訳者として知っていたはずなのに、随筆で見かける名前と一致していなかった。 とも…

世界の奇妙な国境線/世界地図探求会

ついでに借りてみた1冊。 飛び地、未確定の国境、不自然な形の回廊、そういった地図上の国境線から、現代史の国境紛争問題に遡っていく。 この本もまた軽く読めてしまうが、あんがい重いテーマである。 世界の奇妙な国境線 (角川SSC新書) 作者: 世界地図探求…

ひとりメシの極意/東海林さだお

とあるブログで褒めているのを見て、読んでみようかと思った。 が、図書館で予約したところ、返却待ちになっていた。 そして夏休みの前日に、貸出可能の通知が来て、借りに行けず、結局、1週間遅れで受取って読み始めた。 食事に関する軽いエッセイである。 …

月の塵/幸田文

いまさらながら、幸田文の読者とは誰なんだろう、と思った。 懐古的な随筆はいつの日か考古趣味の対象になり、文学としては読まれなくなるのではないかという気がする。 幸田文が書いている対象について興味がある読者というのは誰なのだろう。 そして、幸田…