雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

北斎 富嶽三十六景

岩波文庫もビジュアル系に手を出したのか、と思って買ってみた。

残念なことに見開き1枚なので、どうしても真ん中が見えない。

(だったらレプリカを買え、という話かも知れない)

元が元だけに、残念である。

店頭で確認して分かってることなんだけど、やっぱり耐えられなかった。

北斎 富嶽三十六景 (岩波文庫)

北斎 富嶽三十六景 (岩波文庫)

  • 発売日: 2019/01/17
  • メディア: 文庫
 

 

日本の中世国家/佐藤進一

久しぶりに固い本を読んでみる。

だいぶ頭が固くなっているのか、言葉がすっと入ってこなくて難儀する。

人文系の本を読むことは、ある程度の慣れが要ると思っている。

そういえば紙の本を読むことが減り、電子書籍でさえ開かない日もある。

Twitterのような短い文章ばかりにで過ごしていると、長い文章が書けないばかりか、読めなくもなってしまうものらしい。

この本は恐らく、大学のゼミの先生に薦められたような気がする。

真偽を確かめる手段はもうない。

鎌倉幕府における権力の二重構造の確立、そして源氏から北条氏執政への移り変わりと建武の新政への権力構造の変化を分析した本である。

高校ぐらいまでに覚えた歴史は権力の遷移と事件の羅列だが、こういった本ではその背景にある人間関係の分析などに踏み込んでいくダイナミズムを知ることで、歴史の面白さみたいなものに気づく。

おそらく、歴史好きという人たちは自分でそれを感じ取れるのだろう。

 

日本の中世国家 (岩波文庫)

日本の中世国家 (岩波文庫)

 

 

父のなくしもの/松田洋子

久しぶりに松田洋子の漫画を読んだ。

Twitterでフォローしていて、この本はぜひ紙で買いたいと思っていたのだが、期限切れになるポイントが大量にあったので電子書籍で購入した。

内容としては、幼い頃の思い出から逝去に至るまでの、ご尊父への回想をつづった随筆漫画である。

こういう話には弱いのであまり感想を書けないが、とても良い漫画である。

 

父のなくしもの (ビームコミックス)

父のなくしもの (ビームコミックス)

  • 作者:松田 洋子
  • 発売日: 2019/07/12
  • メディア: コミック
 

 

書百話/榊莫山

榊莫山という名前を知ったのが、米焼酎のCMであったなんて、お里が知れるというものだろうか。

有名な書家ではあるが、その作品は好みではない。

だが、書に対する考えや、エピソードなどは面白く読めた。

 

 

書百話

書百話

 

 

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ノストラダムスの大予言/五島勉

1999年7月に恐怖の大王が来て世界が滅ぶ、という予言は、小学校の教室の中で、幾度となく盛り上がった。

どうせ世界は滅びるんだから、やりたいことをやったほうが良い、という価値観は、1980年代後半からのバブル期の消費マインドの根底に繋がっていたような気がする。

結局のところ、1999年に世界は滅びなかったし、今では、ノストラダムスの名前を聴く機会も、大分減ってしまった。

世界が滅ぶんだったら踊ってようぜ、というのがPrinceの1999、あの頃に戻りたいよ、もう一発かましてくれよ、なんて歌いながらさ、というのがCharlie XCXの1999、どちらにしても1999年というのは特別な時間であることが意識の何処かにあって、何かとネタになりやすいのではないだろうか。

最近でも1999年7月を舞台とした小説や漫画を目にすることがある。

1999年の予言とは、なんだったのか、かつてのベストセラーを読み返してみる。

既に外れた予言の内容を検証することには何の意味もない。

1999年7月に世界は滅ぶ、という甘美な夢を、どうやって囁いたのかという、語り口を検証するべきなのだろうと考えた。

そう思って読み返してみると、あまりに粗雑な文章構成にくらくらする。

「おそらくは」と「間違いない」が一文の中にあったり、資料から想像で組み立てられた会話がまるで再現ドラマであるかのように断定されていたり、子供だましのレトリックがこれでもかと続く。

しかしそれを、いちいちあげつらって解ったような批判をしたいわけではない。

この本で主に著者の感想として述べられている公害問題への警鐘が、当時の読者たちの心象の中に納得感として残り、ひいては引き合いに出された1999年7月の予言が、リアリティを持って受け入れられたのではないだろうか。

坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、の類の構造ということではないだろうか。

なお、大予言シリーズはこの後、続巻を重ねていって、当時は買った覚えもある。

そのまま持っていれば、この本を図書館で借りる必要もなかったな、と思った。

 

 

泥酔懺悔

酔いにまつわるエッセイなのだが、酒を呑まない方の話が多くて、いささか鼻白む。

この本を企画はどういうつもりだったのか、逆に気になってしまう。

 酔っぱらいの話は読むものではなくて、聞くものだということが良く分かる本である。