ちょっと見かけ、気になったので図書館で借りてみた。
日本の中世における「かわらけ」という雑器をめぐる本である。
そもそも、かわらけとは何かから始め、形態の違いから作り方の違い、使い方、地域の差などを考察していく。
今でこそ、産業革命後の大量生産、大量消費の生活様式が当たり前のようになっているが、かわらけが大量に出土する場所、出土したものから、中世における職工による大量生産、そして社会構造の中での消費のされ方を想像していく。
自分が、歴史というものの見方、考古学の調査方法、といった方面に疎いせいもあるのだけれど、こういった考察の仕方がスリリングで、早く次の頁が読みたいとなるような内容であった。
歴史を縦糸、地理を横糸に、かわらけから見える文化の伝播といったところまで踏み込んでいて、面白いと思った。