この本もまた電子書籍である。
ちょっとした調べ物で、読み返してみた。
谷崎はどうも肌に合わない。
嫌いじゃない気もするのだけれど、最近はあまり読みたいと思わない。
耽美的なものに対する憧れのようなもの、が鼻につくのだろうか。
この物語の中心は、佐助のマゾヒズムなのだろうが、そこに共感が出来ないからいまひとつなのだろうか。
最初に読んだときは新潮文庫の細かな文字の版だったっけ。
この本もまた電子書籍である。
しかし、こういった店頭で見かけたことのない本が、電子書籍になって、気軽に読めるのはとても有難い。
この本は坂口安吾による探偵物の連作である。
主人公は結城新十郎、そして勝海舟で、明治初期の東京を舞台に怪事件の謎を解く、といった趣向である。
坂口安吾の私小説的な作品とはだいぶ趣が違うようにも見えるが、安吾の描き出す人間の業とか哀しさとか愛おしさというものは、全く変わっていないと思う。
個人的には、「血を見る真珠」 「覆面屋敷」「トンビ男」辺りが良いと思った。