雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

春琴抄/谷崎潤一郎

この本もまた電子書籍である。

ちょっとした調べ物で、読み返してみた。

谷崎はどうも肌に合わない。

嫌いじゃない気もするのだけれど、最近はあまり読みたいと思わない。

耽美的なものに対する憧れのようなもの、が鼻につくのだろうか。

この物語の中心は、佐助のマゾヒズムなのだろうが、そこに共感が出来ないからいまひとつなのだろうか。

 

春琴抄

春琴抄

 

 

最初に読んだときは新潮文庫の細かな文字の版だったっけ。

 

春琴抄 (新潮文庫)

春琴抄 (新潮文庫)

 

 

鬼/織田作之助

この本もまた電子書籍である。

織田作之助にでも手を出してみるかと思い立ち、探してみるとやはり青空文庫に入っている。

とりあえず短そうなものから手を付ける。

主人公の辻は文筆業で仕事になると、やたらと煙草を喫み、その他のことがずぼらになってしまうという男だが、金に汚いと周りからは思われている。

イデアが頭に浮かぶとその他のことが見えなくなってしまう。

言わば、仕事の「鬼」だろうか。

まぁ、それなりに楽しめる。

 

鬼

 

 

半島一奇抄/泉鏡花

この本もまた電子書籍である。

伊豆を舞台とした化け物話である。

化け物が何であるかを書くとつまらないので書かないが、遠近感の歪んだ感じが良い佳品だろう。

 

半島一奇抄

半島一奇抄

 

 

まざあ・ぐうす

この本もまた、電子書籍である。

作者不詳だが日本語に訳されていた。

読んでみたら訳者は北原白秋であった。

なので、これはまるで白秋の詩集である。

 

 

怪談女の輪/泉鏡花

この本もまた電子書籍で読んだ。

まさか、泉鏡花電子書籍で読むとは。

泉鏡花の文章には独特のリズムがあって、それに乗るとするすると頭に入ってくる。

ただ、独特の当て字というか、創作文字がインターネットの世界では再現できない。

そもそも、康煕字典のどの程度カバーできているのか。

それはともかく。

冬に怪談を読むのも、また一興。

ありふれた話のようで、恐怖の演出がなかなか芸が細かく、さすがだと思わせる小品である。 

怪談女の輪

怪談女の輪

 

 

明治開化安吾捕物帖/坂口安吾

この本もまた電子書籍である。

しかし、こういった店頭で見かけたことのない本が、電子書籍になって、気軽に読めるのはとても有難い。

この本は坂口安吾による探偵物の連作である。

主人公は結城新十郎、そして勝海舟で、明治初期の東京を舞台に怪事件の謎を解く、といった趣向である。

坂口安吾私小説的な作品とはだいぶ趣が違うようにも見えるが、安吾の描き出す人間の業とか哀しさとか愛おしさというものは、全く変わっていないと思う。

個人的には、「血を見る真珠」 「覆面屋敷」「トンビ男」辺りが良いと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明治開化 安吾捕物(完全版)

明治開化 安吾捕物(完全版)

 

 

 

明治開化 安吾捕物帖 全21巻合本版

明治開化 安吾捕物帖 全21巻合本版

 

 

 

明治開化  安吾捕物帖 (角川文庫)

明治開化 安吾捕物帖 (角川文庫)

 

 

能面の秘密/坂口安吾

この本もまた電子書籍で読んだ。

坂口安吾推理小説ものである。

そんなに凝ったトリックがあるわけでもないが、なかなか読ませるのはやはり、文章の力ではないか、と思っている。

 

能面の秘密

能面の秘密