雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

安吾新日本風土記/坂口安吾


観念の速度


ここにあるのは、書かれなかった歴史を廻る考察である。
正史として何らかの記録が残っているものは、全て勝者の歴史であり、敗者の歴史は尽く破壊されてきたのだ、と坂口安吾は推察する。
歴史が排除してきたもの、それらを廻り、まるで謎を解くかのように紀行文を構成しようとしたのであろう。
だが、その観念が坂口安吾の記述するスピードを超えてしまっている。