雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

YASUJI東京/杉浦日向子

この本は、杉浦日向子にしては珍しいエッセイ漫画である。
YASUJIとは明治初頭の浮世絵師の井上安治のことだ。
たまに小林清親は見かけることがあっても、その弟子の井上安治はあまり見かけない。
井上安治の描く東京は、あっけなくて、画者の存在が見えないという。
これは井上安治についてのエッセイであり、東京についてのエッセイでもある。
マンションの上から見る東京は墓場のようで、皇居の周りをジョギングし、溜池の辺りと思われる場所で夜釣りをする。
かといって、東京を賛美しているのでも、井上安治を賛美しているのではない。
懐かしさのようなもの、いとおしむ様な感情、そんなある意味捉えどころの無いものを捉えようとしていると思う。
他の江戸モノの作品と比べてしまうと、杉浦日向子の作品としては、何だか物足りない。
だが、この捉えどころの無さが、読み手の身の置きようの無さと響きあうようだ。
井上安治の浮世絵を手に入れたい、と思わせる。


YASUJI東京

YASUJI東京

持っているのはハードカバー
YASUJI東京 (ちくま文庫)

YASUJI東京 (ちくま文庫)

文庫にもなっていたのか