大学のときのゼミの教材を読み返してみる。
新書ながら、一揆の基本的な要点を押さえている好著だと思った。
法制史的に言えば、一揆とは公家法でも武家法でもない、私的な契約関係と考えられるということだったか。
改めて読み直してみると、集団論理的な面が気になった。
この本の論調は、朝廷や幕府、荘園主、地頭といった諸権力への対抗手段として捉えているように思う。
だが、一揆で結ばれる契約関係としては、集団に拘束され、集団から抜けることを許さない、集団主義的なものに見える。
メンバー相互の地位関係を定義するものではなく、ただ目的に対する義務を課する契約のように思う。
一揆はやがて、徳政一揆や世直し一揆と姿を変えてゆくが、そこには社会関係を転換させるための暴力的手段、つまり微温的なテロリズムといったものに変容しているように見えるのだが、この本ではそんな論調ではない。
何か違和感が残ったまま、読み終えたのだった。
- 作者: 勝俣鎮夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1982/06/21
- メディア: 新書
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