雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

雨の日には車をみがいて/五木寛之

初めて五木寛之の小説を読んだ。

雑に言ってしまえば、主人公の女性遍歴と車遍歴をテーマにした短編集というところだろうか。

だが、それぞれの車についての印象もさることながら、様々な女性との付き合い方も面白い。

それは恋愛に至るまでの過程だったり、失恋に至るきっかけだったり、あるいは恋愛に至らない失望だったり、謎めいた存在感であったりする。

だが、ボルボ122Sは運命の1台、そしてFamme Fatalとして描かれている。

いつかあなたは車を降りるという予言は、冷静に考えれば当たり前のことだ。

しかし、この小説が書かれた80年代は、老いてなお、車を運転することが信じられていた。

主人公は反射的に女に殺意を抱くが、女からの誘いを断ることで、予言を無効化したのだが、Femme fatalとして認めざるを得なくなったのだ。

 

知り合いから薦められて、初めての作家の本を手に取る、という体験ができたのも楽しかった。

 

雨の日には車をみがいて (集英社文庫)

雨の日には車をみがいて (集英社文庫)