シオランの散文はアフォリズムとちょっと印象が異なる。
序文によれば、この本は1957年から1958年にかけて書かれ、1956年のハンガリー動乱が背景にあるらしい。
何度かソビエトに対する記述があるが、仮借なきまでに叩きのめすその様は、熾烈を極めていると言って良いと思う。
だからと言って、手放しでハンガリーに肩入れするのでもなく、むしろ批判的にさえ見える。
ソビエトにも、バルカン諸国にも、そして西欧にも攻撃の手を緩めない。
そして国家だけではない。
ユートピア思想、そして人間存在そのものにも切り込んでゆく。
アフォリズムではやや婉曲に示唆していることが、徹底的に畳み掛けるように迫ってくる。
- 作者: E.M.シオラン,出口裕弘
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 1967/05
- メディア: 単行本
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