出張の移動時間潰しに、ニーチェを持参した。
旅先でニーチェを読むとは、何というミスマッチか。
するすると頭に入ってくる部分もあれば、難解な部分もある。
だが、日本語で読むニーチェの難解さは、翻訳にあるんじゃないかと思うふしもある。
恐らく原文の格調の高さを、日本語に移し変えようとして、生硬な妙な文語調的な言い回しになっているのではないだろうか。
だがこの本は、何となくだが、一つ一つの文章を吟味するより、読み飛ばしていった方が良い様に思う。
そう読んでいく中で、気に留まったのは、選民思想的に誤読されそうな部分だ。
ニーチェが攻撃しているのは、西欧文明のベースにあるルサンチマンなのだけれど、その文脈を切り離してしまうと、何とも独我的な主張にも見えてしまう。
それは明らかに誤読なのだが、その誤読自体が魅力的な匂いを放つようだ。
つまるところ、自分にとってのニーチェとは、日本語としての読み難さと、誤読の魅力の間をすり抜けていくことのようだ。
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