雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

アイデアのつくり方/ジェームス・W・ヤング

イデアとは新しい組み合わせのことだ、という今では当たり前のように聞くけれど、この本が出た1960年では新鮮だったのだろうと思った。

方法が斬新なのではなく、その方法のプロセスを言語化したことが新鮮であった、ということだと思う。

実際の記述はもう少し丁寧だが、要約すると、材料を集め、記載し、組み合わせを考え、熟すまで待つ、ということだ。

古典的な手法に思えるけれど、手法とアイデアの内容は関係ないだろう。

使うツールが何であれ、考える人間の脳みそはそう変わってはいない。

意識して使ってみるかとは思った。

成功をめざす人に知っておいてほしいこと/リック・ピティーノ

どこかで勧められて読んでみたが、著者は高名なバスケットボールコーチらしい。
不勉強で全く知らなかった。
文中にもしばしばバスケットボールの話が出てくる。
だからといって、バスケットボールやスポーツに特化した話かというとそんなことはなくて、むしろベーシックな話題ではある。
ともすれば根性論なので、たぶん好き嫌いは分かれるのかもしれない。

ミニマル料理/稲田俊輔

例えば物語を読むことは、世界の因果律を想像することであり、ビッグ・バンについての解説書を読むことは宇宙の始まりを想像することであり、クウォークについての解説書は目に見えない物質の究極を想像することであり、料理本を読むことは未知の味覚を想像することなのだと思う。

読書は想像力による未知の感覚の開拓であり、視覚や知覚と同じように、味覚を拡大することができるのではないかと思っている。

さて、この本は従来のレシピ本のように大さじや小さじではなく、グラム数やパーセントで表記しているのが特色だと思った。

また、従来とはちょっと違って、必要最低限の材料で作っていくところが、ミニマル料理たる所以だろう。

どんな味なのかと想像が楽しくなるような本だと思った。

Chatter頭の中のひとりごとをコントロールし、最良の行動を導くための26の方法/イーサン・クロス

かなり前に誰かのおすすめされたので、図書館で借りてみたのだけれど、かなり評判になっている本らしく、半年以上待って借りることができた。

自己対話の話し相手であるChatterをどう飼い慣らしていくのか、というハウツー本である。

確かに、自分の外にいる誰かと話しているよりも多くの時間を、自分の中の誰かと話している。

自分の中で話すことが悪いのではないが、自分のメンタルを左右しているのもまた、自分なのだという、当たり前のことを再認識した本だった。

 

一汁一菜でよいという提案/土井善晴

料理本というよりは、料理文化の本のようだと思った。

例えば美味しいものを食べた、という話ではなく、この美味しい料理は素材の美味しい時期を知っている先人の知恵が云々、といったニュアンスで伝わるだろうか。

それが面白い時もあるが、何となく冷めた目で眺めてしまう。

酒が入ると壮大な与太話をしてしまう人がいるが、そんな感じにも似ている。

それが悪いという訳でもなく、そういう考えなのだ。

 

小泉八雲作品集

こういった作品集は年代で編まれていないので、何だか読みづらい気がするのだけれど、手軽に読めるのだからそう文句を言うものでもない。

小泉八雲の主だった作品を集めている。

が、紙の本で読んだ「日本の面影」などが入っていないのは残念だ。

もしかすると、ばらばらに入っているのかもしれないが、そういった「本」として読めていない。

電子書籍は頭から読み通すのでは無く、拾い読みしたり検索したりするためのものかもしれない、などと思った。

小泉八雲の本は紙で買い直すことになるだろう。

キス・キス/ロアルド・ダール

ロアルド・ダールの第3短篇集である。

気味の悪いオチが付いたり、オチを付けずに仄めかして終わる話もあったり、SFめいた発想の話や、黒い笑いの話もある。

短い話だからこそテイストの違いが際立っていると思った。

通勤途中で読んだが、本当はお茶やコーヒーを用意して、ゆっくりと過ごす午後などに読んでみたいものかもしれない。

もっともそんな時間を過ごしたことは無いのだけれど。