雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

ウエンディ/松本次郎


ピーターパンってどんな話だったろうか

ウエンディ (Ohta comics)

ウエンディ (Ohta comics)


実際に連載されていたのは、モーニングだったはずだが、忘れられた頃に別の出版社から単行本になっていた。それで買ったのが既に7年前かと思うと、10年ぐらい前なのか?
物語の枠組みはピーターパンなのだが、子供の頃に読んだきりなので、正確には覚えちゃいない。ともかくピーターパンを下敷きに、その頃の少年少女的なエッセンスを混ぜ込み、夢と狂気と暴力的な雰囲気を漂わせようとして、何となく失敗しているように思う。絵も汚いし、作者本人が言うようにデッサンも狂っている。物語は蛇行し、伏線は破綻し、もどかしいセリフが続き、おざなりなハッピーエンドがついている。
だが、この作品にはそんな事を越えた魅力があると思う。たぶん、デビュー作でしか表現できない、自己表現のもどかしさや、何かを捕まえてやろうという気概のような、手馴れた作家では漂ってこない匂いのようなものが、このマンガの頁からは立ち昇ってくる。そんな気がしている。久しぶりにピーターパンでも読んでみるか、と思ったのだった。