雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

クラクラ日記/坂口三千代


天賦の才

クラクラ日記 (ちくま文庫)

クラクラ日記 (ちくま文庫)


坂口安吾好きの女性に薦められて読んだ。かく言う私も坂口安吾好きなのだが、坂口安吾の奥さんが書いたこの本の存在は知らなかった。坂口安吾という類稀な才能を夫に暮らした女性とはどんな女性なのか、それだけでも興味深いのだが、日常の坂口安吾はどんな人物だったのか、ということが語られている点でもこの本は興味をそそられる。だが、よくあるような伝記ではない、著者の愛情に満ちた視点での坂口安吾が語られ、楽しげに二人の生活が語られ、時には哀しく思い出が語られる。坂口安吾の妻というのも、ひとつの天賦の才であったことがとても印象に残るのだった。