雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

勝者に報酬はない・キリマンジャロの雪―ヘミングウェイ全短編〈2〉/アーネスト・ヘミングウェイ


かげのように

勝者に報酬はない・キリマンジャロの雪―ヘミングウェイ全短編〈2〉 (新潮文庫)

勝者に報酬はない・キリマンジャロの雪―ヘミングウェイ全短編〈2〉 (新潮文庫)


ヘミングウェイ全短編集の2巻目である。
1巻目がパリにいた頃であったが、2巻目はフロリダのキーウェストに住み着いた頃らしい。
かねてから、場所と作品には何らかの関係があるような気がしているのだが、ここに収められている作品は、死や戦争が色濃く現れている。
どちらかと言えば、悲惨な話の部類にあるようだ。
1巻目は皮肉めいた笑い、冷笑が感じられたが、2巻目は死や悲惨さ、人間の愚かさ、そういった悲惨さを、ともすれば冷酷な筆致で描こうとしているような気がする。
それは、キーウェストでの享楽的な暮らしぶりとバランスをとっているかのように思えるのだ。
光と影のように、“パパ”ヘミングウェイの数々の逸話と対で作品が存在しているかのように思えてくるのだ。