精神科医である岩井寛氏の最後の著作であり、森田療法の入門書とも言える。
岩井氏にいついても、森田療法についても、Webで知りうる程度の事しか知らなかったが、この本には鬼気迫る重みのようなものを感じた。
それは、松岡正剛氏による前書き、岩井氏による後書きからも解るように、この本は岩井氏が病床で口述筆記によって書かれた。
癌に身体を蝕まれ、次第に視覚や聴覚を失われつつある状態で、岩井氏は「人間としての尊厳」を守ろうとしたのだという。
その、「人間としての尊厳」という言葉の持つ重みのようなもの、それが森田療法の解説としての「とらわれ」と「はからい」、そして「あるがまま」といった、一見、平易なキーワードで語られる内容がとても重い。
- 作者: 岩井寛
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1986/08/19
- メディア: 新書
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