井筒俊彦氏は東洋学の大家であり、恥ずかしながら「意識と本質」は未だ読み通せずに、本棚の片隅に置いてある。
また、井筒氏はユングが主催していた「エラノス会議」に招聘された、数少ない日本人の一人であり、毎年のように、東洋文化について講演されていたようだ。
ともあれ、この本は講演を基に書かれたイスラーム文化の入門書である。
切り口は、宗教、法律、思想の3つである。
その中で、主流であるスンニー派、イランを中心とするシーア派、そしてスーフィズムにまで、解説が及ぶ。
その鮮やかな手つきで、イスラーム世界の入口が開かれる。
ヨーロッパ文明における、古代ギリシャ・ローマとルネサンスを結ぶミッシングリンクの一つがイスラーム文明であり、全世界の人口比で約23%がイスラーム教徒なのだが、あまりにも知らないことを思い知らされる。
イスラームについて、もう少し他にも読んでみるべきかと思った。
- 作者: 井筒俊彦
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1991/06/17
- メディア: 文庫
- 購入: 16人 クリック: 90回
- この商品を含むブログ (87件) を見る