クリスマス・イブに仏教の文献を読み終えるのも、そこに意図は無いのだけれど、何かの縁だろうか。
往生要集を知ったのは、方丈記の部屋の設えの中に以下のように登場するからだ。
西南に竹のつり棚を構へて、黒き皮籠三合を置けり。
すなはち和歌、管弦、往生要集如きの抄物を入れたり。
方丈記は、天災や戦災から厭世の念を強くした著者の隠遁生活の随想であり、その生活は極限まで切り詰められた質素なものだと思うが、そこに登場する「往生要集」とは如何なるものだろうかと興味を惹いた。
そこで、図書館で借りて読んでみたのだけれど、半分以上は理解できなかったかもしれない。
まず冒頭は、地獄の描写のオンパレードである。
それは恐怖心を湧かしめるための描写なのだろうが、恐怖心というよりは、生理的嫌悪感を抱いた。
身体を切り刻まれても復活し、再び切り刻まれるという苦しみが、永遠にも近い時間に反復される。
切り刻まれるやり方も多種多様であり、刃物で切り刻まれるものもあれば、糞を食ってその中に居る虫に内臓を食い破られるといったものや、強烈な炎に焼かれるといったものなんかもある。
それらの描写は各経典から引用されたものだ。
そして、そうした地獄に堕ちないための行いといった話に移って行くのだけれど、この本はそのこと自体を説くというよりは、各経典のダイジェストなのだ。
つまり、ある程度、経典に関する知識なり、仏教的思考に通じていないと、この経典にこう書いてある、という描写が続いても、正直なところそこに興味を惹くものはあまり無いのだった。
もう少し信心深ければ、もう少し理解できたのかもしれないと思うと、少し残念な気もするが致し方あるまいとも思う。
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