ふと読み返したくなり、図書館で借りてみた。
軽妙な語り口の本で、ほぼ1日にて読了できた。
栗本慎一郎氏の著作は、偉大なるワンパターンのように、カール・ポラニー流の経済人類学理論が援用される。
この本もまた、経済人類学の入門書であり、「幻想としての経済」といった著作で展開された理論の援用と見ても良いだろう。
過剰と蕩尽、象徴としての貨幣、沈黙交易、共同幻想といったキーワードが出てくると、栗本氏の著作を読み漁っていた高校から大学の頃を思い出す。
特に大学生の頃は、それが自分にとって何の益になっているのかも判らず、本を読み漁り、音楽を聴き、下手糞な絵を描き、友人と集まっては酒を飲んで時間を浪費していた。
受験から就職にまで目的意識を持った自己実現が求められている昨今の大学生からすれば、無駄遣いとしか思えない時間の使い方だろう。
だが、負け犬の遠吠えに聞こえるかもしれないが、そんな無駄遣いも自分にとっては必要だったのだろうと、今にしては思う。
最短距離で今の自分になることよりも、紆余曲折があって今の自分になったほうが、やっぱり面白かったのだということだ。
それは、こうして栗本慎一郎氏の著作を読み返してみると、その内容を結構憶えているし、その後の生き方に影響を受けている部分もあるように思った。
ただ単に氏の理論を援用して何かをどうしたということではなく、世間や社会に対する態度のようなものに影響しているのだが、それをここで詳らかにするのは本意ではない。
しかし、この本を十代の終わり頃に読んだということは、自分にとってとても重要なことであった、ということを読み返して再確認したのだった。
パンツをはいたサル―人間は、どういう生物か (カッパ・サイエンス)
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