夜の思い出
- 作者: E.M.シオラン,金井裕
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 1991/05
- メディア: 単行本
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タイトルに込められたこの本の経緯は、序文で作者自らが語っている。
シオランが22歳の処女作ではあるが、この老成ぶりは流石という他無い。
何かを言い切る。
それは結論でもあるかもしれないし、中間点であるかもしれない。
論理を省略しながら、言葉を重ねる。
手短に語りつくしながら、次のテーマに移る。
シオランのスタイルを、乱暴に要約するとそんな感じだと思う。
不眠の明晰さ、絶望を突き抜けた熱狂、そんな感じが判るだろうか?
判るのであれば、この本の中に共感できるところは、大いにある。
判らないのであれば、シオランには近づかないほうが良い。
そんな、試金石のような本だと思った。
バタイユの「内的体験」とは異なる「暗い夜」の感覚がここにはある。
そんな「暗い夜」を抱えていた10代の頃を、ふと思い出してしまう。