雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

百物語/杉浦日向子


のほほんと儚く愛らしいもの

百物語 (新潮文庫)

百物語 (新潮文庫)


杉浦日向子の描く江戸の世界は、のんびりとして、現実から浮遊したような感じがする。それは優れた物語作者だからということなのだが、それを気づかせないためか、元々なのか、マンガとしての絵の質の浮遊感がある。
この本で語られる怪談は、さまざまな百物語から選りすぐられた怪異譚に違いないのだが、どれも浮遊感があるのだ。恐ろしい話に違いないのだが、どこかのほほんとして、儚く、愛らしい。
そのギャップが楽しくて、何度も読み返してしまうのだ。