何となく読み返す。
もう最近はねこぢるを読む人もいないのではないだろうか。
それとも、一部に熱狂的なファンでもいるのだろうか。
ともあれ読み返してみた。
「たましい」「ひるね」「かぶとむし」の3篇は、ねこぢるにしか描けないんじゃないかと思う。
ねこぢるの作品を、夢とか狂気とかそういった言葉で説明しても、結局は何も語ってはいない。
確かに夢にも似ているが、そして夢を題材にしているのだろうけれど、それだけではない高揚感のようなものと冷静さが同時にあるような感じが独特だろう。
だがそれは、私個人の感覚であり、誰とも共有できてもいないし、誰かと共有する気も無い。
なぜなら、言葉の通じない相手とはコミュニケートしたくない、と思っているのだし、むしろこの世界はそんな相手が大多数を占めているのだと思う。
もう少し語ってしまえば、ねこぢるをどう思うかはひとつの試金石でもあるのだけれど、逆にねこぢるに心酔しきってしまうような相手もきっと困るだろう。
ねこぢる的なものを理解できないのも、かといって耽溺するのも、違うということだ。
いったい何なのかと言われれば、漱石の「草枕」ではないが、とかくこの世は住みづらい、ということだ。
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もともとは青林堂から出ていた。2巻だけ持っている。
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