雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

泰平ヨンの現場検証/スタニスワフ・レム

レムの1980年代の作品。
地球に帰ってきた泰平ヨンが、訴訟に巻き込まれる。
その訴訟がうだうだしているうちに、以前、訪れたエンチア星に関する「泰平ヨンの航海日誌」の記述が間違いだらけで、訴えられることを知る。
そこで、エンチアの歴史に関する云々、地球を飛び立ってからも宇宙船にインストールした哲学者同士の論争が云々、エンチア星に到着してからも誘拐されたり、不死の賢者に遭ったり。
つまらないかと言うとそうではない。
だが、しつこい。
朝からとんこつラーメンを食べさせられているような。
執拗に描かれるルザニアとクルトランディア両国は、1970年代の冷戦構造だろうか。
それよりも神学論争の方がくどい上に、よく判らない。
つまり、そこにはあまり興味は無い。
現場検証に行ったエンチア星は悪夢のようなところなのだが、泰平ヨンは現実はここにしかない、と言う。
執拗に描き込まれたフィクションが夢オチでもなく、ただ放り出されて終わってしまう。
一体何の物語なのか。
そのディテールの一つ一つが、おそらく主題でだったのだろう。

この二つは何が違うのだろう?