日本について考えることは難しい。
飛行機に乗れば、離陸していくにつれて、住んでいる街が小さく遠ざかってゆく。
そこに見えるのは日本の街であるに違いない。
例えば、中国人の友人と話していると、日本人である自分を意識する。
だが、自分にとって日本とは何なのだろうか?
おそらく外から眺めることでしか、その答えは見つからないだろう。
ラフカディオ・ハーン、或いは、小泉八雲、その人については今更ここで書く必要もないだろう。
この本は、松江の辺りに暮らしていた頃の文章のようだ。
基調として、日本に対して好意的である。
人々に対して好意的であり、文化に対し敬意をもって接する。
特徴ある叙情的な文章で日本を紹介してゆく。
時折、挿入される民話や伝承が、その叙情を高めている。
ここに記された日本は、今は失われた過去の姿であると同時に、旅行者としての視点からの姿だろう。
その二重のフィルタを外した時に見える日本の姿は、今ここにある日本の姿とどれほど隔たっているのか、或いはどれほど近いのだろう。
ガイドブックとしては役に立たないのは間違いない。
- 作者: ラフカディオ・ハーン,Lafcadio Hearn,池田雅之
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2000/09/18
- メディア: 文庫
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