何で詩を読むの、とか、詩は何が面白いの、とか聞かれても、答えようがない。
時々、詩を読みたくなるのだし、面白くないものなど読もうとは思わないだろう。
ふと本屋でこの詩集が目に留まったので買ってみた。
別にミッキー・マウスが好きなわけでもない。
だが、鮮やかな群青色の表紙に、何か惹かれたのかもしれない。
そして読んでみて、久しぶりに詩に向き合った気がしている。
谷川氏はあとがきで、何かが言いたくて詩を書いているのではない、そこに詩を存在させたいからだ、と書いている。
この言葉は非常に腑に落ちるし、確かに谷川氏の詩の何たるかを良く表している。
そして、そういう詩に触れたいがために、詩を読むのだろう。
作品の一つ一つは憶え切れるものではないが、読んだ印象はどこかに残ってゆく。
そしていつか読み返した時に、その時の印象が蘇るだろう。
季節や、日差しや、風や、街や、路地裏や、つまらなさや、やり切れなさや、不条理や、夜や、月や、河や、それから…
例えば音楽について言葉で表しきれないように、美味しい料理について言葉で表しきれないように、詩について語ることは出来ないだろう。
むしろ語りつくせてしまう詩は、既に詩である意味はないのではないだろうか。
- 作者: 谷川俊太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/06/28
- メディア: 文庫
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