いつも見ていない本棚の端にあったので、引っ張り出して眺める。
誰も写っていない東京の街の写真集。
銀座、渋谷、新宿、池袋、青山、お台場、芝浦、どこにも人がいない。
普段は人が溢れかえっている繁華街に、人がいないということの違和感。
たぶんそれがねらいなのだろうと思う。
しかし、今、この写真集を見直してみると、違和感はそれだけではない。
この写真集に収められた写真は、1990年〜2000年に撮影されたらしい。
だから、今は存在しない企業の看板、例えば三和銀行、富士銀行、あさひ銀行、新日本証券が写っているし、街並みが今とは異なっていて、お台場は空き地だらけ、汐留には広大な貨物駅があって、舎人ライナーは建設中、首都高の入口にETCの表示は無いし、まるで東京に良く似た別の街の風景のようにも見える。
ちょうどその頃は、車の免許を取ったばかりで、交通量の少ない日曜日の朝などに、練習がてら都心をぐるぐる走っていたので、個人的な思い出として、ある種の懐かしさも蘇ってくる。
また忘れた頃に引っ張り出して眺めようと思う。
- 作者: 中野正貴
- 出版社/メーカー: リトルモア
- 発売日: 2000/08
- メディア: ペーパーバック
- 購入: 3人 クリック: 63回
- この商品を含むブログ (71件) を見る