哀しいゆめ
- 作者: J.M.G.ル・クレジオ,望月芳郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1991/05
- メディア: 単行本
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いつ買ったのかもう覚えていない。この本は哀しすぎるほどにリアルな感じがする。征服者の側、被征服者の側、それぞれが抱えている観念、幻想を『夢』という言葉で表している。それらは、いくつかの公文書からル・クレジオが想像力で広げたイメージの集積であり、だからこそリアルなのだろう。最後まで読み通すのは、なかなかしんどかった。異なる文化の衝突、死の概念、絶対的な他者への畏れ、…ここに描かれている残酷さは、そのまま他の時代の残酷さに繋がる。それは、ナチスであり、旧日本軍であり、今も続く民族紛争であり、かくも人間とは進歩しないものなのだろうか?