喪失とか絶望とか虚無とか
- 作者: フランシス・スコットフィッツジェラルド,Francis Scott Fitzgerald,村上春樹
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/05
- メディア: 新書
- 購入: 2人 クリック: 27回
- この商品を含むブログ (50件) を見る
最初に読んだのは中公文庫版で高校生の頃だったと思う。
改めて読み返すと、これはフィッツジェラルドの短編集ではなく、村上春樹の翻訳小説集、という感じがする。
良くも悪くも日本語における村上春樹カラーが強く、英語におけるフィッツジェラルド・カラーに上塗りされているというか、色付きのセロファンを通して見ているというか。
小説としての、モチーフだったり、筋の運び方とか、それはフィッツジェラルドなのだと思うが、言葉の端々が村上春樹カラーなのだと思う。
だからいまいちだ、と言っているのではない。
これらの小説のテーマに流れる喪失感だとかやり切れなさは、フィッツジェラルドなのだろうと思う一方、そういう小説を選んでいる村上春樹が存在しているのだろう。
この1冊でフィッツジェラルドを語れるわけでもない。
悪くは無いのだが…