雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

明るい部屋―写真についての覚書/ロラン・バルト


ストゥディウムとプンクトゥム

明るい部屋―写真についての覚書

明るい部屋―写真についての覚書


写真についてバルトが考察する。
それは、現象学的分析の延長として始められ、挫折し、転向する。
ストゥディウムとプンクトゥムというキーワードで、写真というテクストを読み解いていく。
だがそれは、RBが感じる写真の本質ではないと否定してしまう。
そこから、母の写真の話が進められる。
写真とは何か、という一般的考察と、「私」にとっての写真とは何か、という個人的考察が重ねられている。
二つの考察はただ並べられているのではない。
それらは補完し合い、ひとつの物語となっているとも言える。
写真とは何であるか、写真の価値はどこにあるか、そしてそれを明らかにするためのRBの母の写真をめぐる考察が、美しく綴られている。