雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

有害な物語/ジョイス・マンスール


眠りに入るのが墜落ならば、目覚めとは何だろう


「充ち足りた死者たち」が物語だとするなら、このマンスールの小説?は詩であろう。
この本に収められた「ジュール・セザール」は双子と少女と女中の物語であるが、物語的なものは無いような気がする。
内容を裏切るレトリックの連なりと悪意に満ちている。
もうひとつの「浮き島」は引用と語呂合わせとエロティシズムと病院が混ざり合う。
前に読んでいたはずなのだが、このような小説だったとは覚えていなかった。
物語としてのモチーフはシンプルなのだが、レトリックに眼が眩む。
残念ながら日本語で読めるマンスールは、これら2冊だけしかないようだ。