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雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

ジャスミンおとこ/ウニカ・チュルン

なんとも哀しい本である。
狂気と正気を行き来する中で綴られたとも思える手記には、理解ができない箇所も多いが、強迫観念的に連ねられる意味やイメージが、読み手に哀しさを想起させる。
なぜ、彼女がそう思うのかは、ほとんど理解できない。
だが、そう思わざるを得なくて、そのことで社会と軋轢が生じていて、だがそれを回収できないがままに晒され、傷つけられていく、そしてそのことを手記に綴っているという事実までもが痛ましい。
(そして、最後は投身自殺をしたという生涯…)
シュルレアリスムの歴史において、ウニカ・チュルンは本流では無いようで、作品が取り上げられているのは、見たことが無い。
この本にも登場する、アナグラムを用いた詩と、奇妙な線画を描いていたようだ。
こちらのサイトでは、その幾つかの線画を見ることができる。
http://www.geocities.jp/belial1313xx/unica_zurn.html
ダリやマグリットといった、「シュール」と言われるタイプの作品ではない。
むしろ、ハンス・ベルメールの晩年の愛人、そして、ベルメールの紐(針金?)での緊縛写真のモデルとして、語られる方が多いだろう。
この本を読んで、ウニカ・チュルンのことを、知ったような気になるのは早とちりにも程がある。
だが残念ながら、日本語で読めるウニカ・チュルンの作品は、この本だけのようだ。
アナグラムによる詩作品の幾つかが登場するが、完成なのか、途中なのかよく判らない。
恐らく、狂気を理解することはできないが、宗教的なるものより、近い距離にあるような気がする。


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