雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

影・裸婦変相・喜寿童女/石川淳


アナーキーな江戸趣味

影・裸婦変相・喜寿童女 (講談社文芸文庫)

影・裸婦変相・喜寿童女 (講談社文芸文庫)


久しぶりに石川淳を読んでみた。思えば高校生の頃に出会って、読み進むうちにその語り口、アナーキーさ、笑いにはまっていった。やがてそれは、江戸とフランスを下敷きにしたものであることを知った。
この本でもそうだが、博識をそのまま出すのではなく、ひとひねりもふたひねりもして、偽の歴史や世界を作り上げたりする。
まったく異なるジャンルだが、スタニスワフ・レムホルヘ・ルイス・ボルヘスにも通じながら、永井荷風にも通じるような江戸趣味や、坂口安吾にも通じるアナーキーさが石川淳にはあるのだと思う。