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- 作者: 小川洋子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/11/26
- メディア: 文庫
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だいぶ前に読んだのを引っ張り出して読む。
改めて言うことでもないが、この物語は「無いこと」の物語なのだと思う。
主人公の家政婦とその子供の家庭には、父親がいない。
博士には、80分前までの記憶しかない。
博士とその義姉は住まいをほぼ同じくしているのだが、家庭というものではない。
それらの欠落を埋めるような力が、物語の底にあるようだ。
それは、友愛、とでもいうありようなのかもしれない。
男女の愛情でも、親子の愛情でも、友情でも、ぴったりと重なりあわない、何か好ましい感情を、主人公の家政婦と博士が懐いていることが、中心にあるのではないだろうか?
そして、小道具は数学であり、江夏なのだという気がする。