雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

銀河鉄道の夜 他十四篇/宮沢賢治


おまへの實驗はこのきれぎれの考へのはじめから終りすべてにわたるやうでなければいけない

銀河鉄道の夜 他十四篇 (岩波文庫 緑76-3)

銀河鉄道の夜 他十四篇 (岩波文庫 緑76-3)


ふと読みたくなっていたら、運良く古本屋で見つけた。
やはりなんと言っても、「銀河鉄道の夜」である。
ここに描かれる旅は、彼岸への旅のようでありながら、ジョバンニの通過儀礼であるような気がする。
銀河鉄道は彼岸へ向かう人々を乗せて走るのだが、その軌道は直線状ではなく、まるで二次曲線のように此方へ返って来る。
そしてジョバンニは、一生無くしてはならない、ほんたうの切符を手に入れる。
その切符をカムパネルラは手に入れることは出来なかったし、途中下車する人々は羨むが、ジョバンニが考え感じることで手に入れた切符なのでは無いだろうか。

また、この本に収録されている作品には、「軍隊」が登場するものが多い。
宮沢賢治にとって軍隊とは何だったのだろうか?
特に批判をしていないのだが、そのありようには何らかの隠喩が託されているような気もする。

寓話におけるねずみはどうだろうか?
ねずみ的なものは、人間の姿を戯画化したものかもしれない。
だがそこにある宮沢賢治の意地悪さのようなものを見たような気がする。