何度でも読み返したい本のうちの一冊である。
なぜ私は読み返したいと思うのだろうか。
この小説は友人を探す物語であり、旅をする物語であり、あるいは存在の物語でもあり、物語についての物語でもある。
物語としての起承転結を味わいたいと思っているのではないようだ。
なぜなら、もう何度も読み返して、覚えてしまっているからだ。
旅の細部をガイドブックを読むように味わう、というのもある。
インドには行ったことは無い。
だが、登場するホテルの雰囲気というのが、とても魅力的に描かれている。
そういったことは読んでから味わうものであり、読む前に手に取る理由なのかというと、違うような気がする。
読みたくなるのは、何かを回復するためのような気がする。
この物語を読むことで、何かを取り戻しているようだ。
それが何であるかは、いまは書かないでおこう。

- 作者: アントニオタブッキ,Antonio Tabucchi,須賀敦子
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1993/10
- メディア: 新書
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