山田風太郎の名前は聞いたことはあっても、実際読んだことは今までない。
推理小説や時代小説が好きだったら通る道なのかもしれないが、ちょっと昔の大衆小説という気がするので、最近の若い人たちも読まないのかもしれない。
いきなり物語の世界に飛び込むのも賭けなので、随筆から手にとってみることにした。
本人の思い出話やら、江戸川乱歩の思い出やら、数ベージの短いエッセイが集められている。
読んでて気に留まったのは、ダールについて若干、触れているのと、永井荷風の断腸亭日乗について書いてる文章だった。
この本の前の方にも出て来るが、本人は年表好きらしい。
出来事を時系列に並べて、関係を生み出して物語を作るとのことで、戦時下の断腸亭日乗と軍部の記録を並べて、いかに永井荷風が超越的な態度で生きていたかを語っている。
いつ書かれた文章が判らないが、なるほどそういう風に断腸亭日乗を読むのか、と感心した。
肝心の物語を読むかどうかはまだわからない。