久しぶりに島田雅彦の「優しいサヨクのための嬉遊曲」が読みたくなって、家の本棚を探したけれど見当たらず、図書館に探しに行っても見当たらず、だったら最近の著作でも読んでみようと思って借りた。
舞台は近未来の日本と思われる国で、AIが人類を管理している。
そこでは人類は遺伝子によって「統治者」「守護者」「学者」「奉仕者」そしてそれらに分類されない「異端」に分けられ、「異端」は社会から排除され開拓地へを追いやられる。
「異端」であることを宣告された主人公と、AI搭載のロボットであるゴーレム3との対話から物語が始まる。
ここで物語の粗筋を書いてしまうと、この物語の半分以上を語ってしまうことになるのでこれ以上は書かない。
物語の要素としては、AI、量子、自由といったものが挙げられる。
舞台設定、世界観、主人公の背景など、説明を重ねたうえで物語が始まるが、あっさりと終わってしまう。
そして、この本には物語をベースにしたオペラの台本が収録されている。
これは小説として表現したいものではなく、オペラとして表現したいものなのかもしれない。
だが、最初から小説であることを志向していたのか、小説では表現しきれなくなってオペラに移行したのか、読了しても何だか収まりが悪い。