雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

サラサーテの盤/内田百けん

恐い話とは一体なんだろうかと考えると、それは恐くなくなってしまうようだ。 最近ちょっと一般化した「都市伝説」も恐い話の系列に加えても良いとは思うが、そこには恐さよりも意外性やナンセンスが強調されているように思う。 では、昔からある「怪談」は…

インド夜想曲/アントニオ・タブッキ

例えばあなたが、何か読んだことも無いような本を探して、本屋を彷徨っているとする。 新刊やベストセラーが読みたい、という気分ではない。 何となく背表紙を拾い読みしている。 海外文学でも、英米独仏の辺りは、何となく聞いたことがある作家ばかりだ。(…

太陽の都/トマーゾ・カンパネッラ

この本もまた、図書館で借りた本である。 ルネッサンス期の思想家であるカンパネッラの描く国家、社会の理想像と言えよう。 ユートピアを描いた本としても有名である。 だが、ユートピアほど息苦しいものは無い。 誰かの考えたあるひとつの形に対して、人も…

あなたの知らないガリバー旅行記/阿刀田高

この本もまた図書館で借りた本である。 というのは、「ガリヴァ旅行記」の面白さが判らなくて、誰かに解説してもらいたいと思い読んでみた。 が、オリジナルの抜粋、または紹介といった感じである。 やはり時代背景、スウィフトの人となりを前提とした面白さ…

室町の王権―足利義満の王権簒奪計画/今谷明

この本もまた図書館で借りた本である。 室町時代の足利義満による王権簒奪計画を実証してゆく。 あくまで政治学として、分析しようとしているようだ。 そして、本当の射程は天皇制にあるようだ。 今ひとつ、著者の主張を消化しきれていない。 政治的権力を裏…

プロタゴラス―ソフィストたち/プラトン

この対話篇ではソクラテスが、当代随一のソフィストと言われるプロタゴラスを訪ね、人間の徳性は教えることが出来る、という主張に異議を唱える。 正直なところ、途中何度か、読むのをやめようかと思った。 プロタゴラスの主張に対して、明らかにソクラテス…

ガリヴァ旅行記/ジョナサン・スウィフト

この本もまた図書館で借りた本である。 子供でも知っている「ガリバー旅行記」なのだが、改めて読んでみると、これが何とも言い難い。 まずこの物語は、作者であるジョナサン・スウィフトの生きていた18世紀のイギリス(アイルランド?)社会を諷刺している…

FLAT HOUSE LIFE 米軍ハウス、文化住宅、古民家……古くて新しい「平屋暮らし」のすすめ/アラタ・クールハンド

この本もまた図書館で借りた本である。 一時期、本気で平屋が欲しかった。 当然ながら都内には無理なので、郊外に住む必要があるが、その頃は都心の近くに住み、暇があれば都内を徘徊したいと思っていたので、いまひとつ踏み切れなかった。 郊外の平屋で暮ら…

禅とオートバイ修理技術/ロバート・M.パーシグ

何とも奇妙なタイトルだと思うが、読んでいくうちに著者の言いたかったことは見えてくる。 だが、それは哀しい過去である。 しかもその過去は失われており、断片が残るに過ぎない。 それらの断片を探し求め、繋ぎ合わせていくために、旅をする。 もうひとつ…

ダヤン・ゆりの花蔭に/ミルチャ・エリアーデ

学生の頃によく行った神保町のとある古本屋では、小さい店ながら膝ぐらいの高さから天井までの本棚があり、その中でもエリアーデの宗教学の著作集は最上段の棚に鎮座していた。 その迫力に圧倒されてそのまま手が出ないで、未だに読めていないのだが、一方で…

絶望の精神史/金子光晴

金子光晴のエッセイである。 明治以来の日本人の精神を告発するエッセイとでも言おうか。 明治はヒゲの時代であり、大正は見せかけの自由が関東大震災で剥がれ、昭和の敗戦前は人の心の弱みに付け込んだ姿が、そして敗戦後はそれらがなかったかのように立ち…

リバーズ・エッジ/岡崎京子

今も交通事故で療養中の岡崎京子の代表作(と思っているし、そういう評価も多いようだ)を、今更ながらに読み返してみる。 この「リバーズ・エッジ」が描かれたのは、1993〜1994年である。 舞台は大きな川の河口に近い町であり、主人公たちは高校生だ。 (こ…

東京日記/リチャード・ブローティガン

リチャード・ブローティガンという詩人は、日本でもそれなりに知られていて、わりと翻訳もされている。(その割にはあまり本屋では見かけないのだが) ビート・ジェネレーションとヒッピー文化の間ぐらいに、人気があったようだがリアルタイムでは知らなかっ…

羅生門・鼻/芥川龍之介

芥川龍之介を読むのは、かなり久しぶりだ。 高校生か大学生の頃、以来だろうか。 この「羅生門・鼻」は、所謂、王朝ものの短編を集めている。 国語の教科書に載るくらいなのだから、内容について今更あれこれ書くつもりは無い。 改めて読んでみると、そのス…