雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

方舟/しりあがり寿


90年代を振り返る、ということでもないけれど

方舟

方舟


東京に雨が降っているので、ふとこの本を思い出した。じわじわと世界が水没して、たまたま方舟があったり、世間がどたばたしたりというマンガ。終末観、死の匂い、狂気の匂い、ポップさが交じり合っている。面白いのだが、認める気にはならない。認めてしまうことで、何かの罠にはまってしまうような気がする。それが何の罠かは判らない。でも、「あぁ、判るそんな感じ」と言ってしまうことで、誰かに「ほらね」とか「やっぱりね」とくくられてしまうような気がする、というような感じなのだ。だが、90年代を振り返ってみると、この感じなのだと思い当たる。バブルがはじけた後の、ノストラダムスの大予言に向かっていた時間軸で、世界の破滅を予感させるような事件や事故が背景にあって、このマンガが捉えたような雰囲気をどこかで意識していたように思う。でもそれは認めたくない。判るだろうかこの感じ。