想像力の質とは何だろうか
- 作者: 大友克洋
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1984/09/14
- メディア: コミック
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久しぶりに読んでみたくなって引っ張り出してみる。SF的なのはもっと先なのだが、近未来を想像する端緒はやはり1巻だろうか。物語の設定として、1982年に東京が壊滅し、WW?があり、復興し、まもなく東京でオリンピックを迎える2019年がスタートだ。連載されていたのが80年代の前半だったことを思うと、この設定は、その時点で「いま起こりうる破滅」を想定し、WW?からその時点の「今」までの時間を継ぎ足したものだ。時間の幅としての40年弱とは長いのか短いのか、それはこの作品の範疇には無い。それまでの歴史と今後の見通しを踏まえたうえでの「2019年」でもない。だから、この作品において、時間や歴史は重要だとみなされていない。1巻で描かれる日常は、1980年代までの日本の日常の延長であり、大友克洋の精密そうな、でもちょっと薄汚れた感じは、当時のそして今でも、日本の雰囲気を良く表しているような気がする。超能力を持つ者が、路地裏を走り回り、それを追いかける者たちは、旧式の銃を振りかざして追いかける。未来を描いているようで、実は過去のイコンに溢れている。だとすると、今描ける未来はどんなだろうか?