雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

象の記憶/川添象郎

この本もまた図書館で借りた。

高橋幸宏氏、坂本龍一氏の逝去に伴って、村井邦彦氏の動画やYMO結成秘話的なエピソードが溢れたように思う。

そんな中で、川添象郎氏の名前を知り、この本を知った。

川添象郎氏のエピソードについては、Wikipediaを始め様々に溢れているし、いちいち取り上げる必要も無いだろう。

自らの出生から学生時代、60年代から80年代にかけての回想が語られる。

内容をひとつひとつ取り上げたら読む必要も無くなるのでそんなことはしない。

著者や内容に触れず、この本について語るとしたら、思い出の語り方になる。

全体のボリュームの中で、学生時代や20代の頃、つまり60年代に多くが割かれている。

というか、多くを語りたくなったのだろうと推測する。

「老人が昔話をしなくなったら誰がするの?」とは、黒田硫黄氏のマンガのセリフだが、この本で語られるような思い出話は、たぶん他の人物では行えないだろう。

だが、語られる人々が歴史上の人物となるであろう未来において、この本は歴史書としての資料的価値があるかというとちょっと疑問に思う。

語られている出来事は主観的であり、概要であると共に、都合の悪いことは丁寧に省かれている。

そしてこの思い出話を検証することの意味は、未来の誰かに判断してもらうことにしよう。