アンチだとかゼンエイだとか
東京ミキサー計画:ハイレッド・センター直接行動の記録 (ちくま文庫)
- 作者: 赤瀬川原平
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1994/12/05
- メディア: 文庫
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ハイレッドセンターの活動記録を、メンバーの一人である赤瀬川原平がまとめた本だ。ここにあるのは60年代の前衛芸術なのだが、それ以上に背後にある時代の雰囲気とでも言うべきスタイルが写しとられている。既存の美意識を否定することで成り立つスタイル、美意識を成立させている枠組みをパロディとするスタイル、そういったスタイルが最先端だと合意している雰囲気。ある意味では、弁証法の重力圏内で成り立っている方法論だと思う。あらゆる事象をパロディ化することで新しい価値を生み出す、という無意識での合意があって成り立つのだが、そういった前衛の考え方は、いつから成立しなくなったのだろう?徐々に何かが失速し、弁証法的な枠組みが破れてしまって、一気に超越を求め自意識が極大化したり、超越的な存在を仮定し部分的存在として位置づけたり、虚無の闇に吸い込まれたり。だが、それらも有効でないとしたら、どこに向かうのだろう?あるいはどこにも向かわないとしたら、何があるのだろう?