雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

櫻画報大全/赤瀬川原平

赤瀬川原平氏をひと言で言うなら、現代芸術家なのだろう。
しかし、何か違う。
言い表せていない部分が大きすぎるような気がする。
では何と言えば、上手く言い表すことが出来るだろうかと考えたときに、パロディストなのだろうと思う。
現代芸術の先端から身をかわして走り抜けるのは、パロディを徹底的にやり抜くことなのだろうと思う。
もっとも、前衛だとか先端だとかアヴァンギャルドだとか、もうそういう言葉は風化しているような気もする。
ハイ・レッド・センターの全宇宙の缶詰も、超芸術トマソンも、パロディの視点無くして、その意味を捉えられないだろう。
生真面目なコンセプチュアルアートを根底から超越するのは、パロディと笑いをベースにすることなのではないか。
この本は、1970年代初頭の朝日ジャーナルに連載、そして自主回収騒ぎの後に、ガロに掲載されたイラスト漫画である。
1969年9月と記載のある「野次馬軍団宣言」は、マルクスエンゲルスの「共産党宣言」のパロディであり、

万国の野次馬、蒼ざめよ!

と結ばれる。
ここから始まる、パロディと悪ふざけは、極めて真面目だ。
水木しげるつげ義春のようなタッチで描かれた漫画はまるで細密画のようだ。
そして、この櫻画報というコンセプト自体は、宮武外骨に対するオマージュでもある。


櫻画報大全

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