レトリック・非限定
グラックが描いているのは、非限定の世界ではないだろうか?いつとも、どことも知れない世界で、登場する人物もその一部であるかのようだ。それは叙事詩のように、あるいは年代記のように、出来事が綴られる。しかしそこには様々なレトリックが積み重ねられ、次から次へと繋げられる。物語の筋は明かされない。物語に意味があるのでは無い。それはそこで起こったことであり、何故起こったかとか、その出来事に込められた意味だとか、そういった事ではないのだと思う。日常の延長から切り離された非限定の世界を描く言葉として、それがシュルレアリスムの方法だったのだろう。