雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

アルゴールの城にて/ジュリアン・グラック


レトリック・非限定

アルゴールの城にて (白水Uブックス)

アルゴールの城にて (白水Uブックス)


グラックが描いているのは、非限定の世界ではないだろうか?いつとも、どことも知れない世界で、登場する人物もその一部であるかのようだ。それは叙事詩のように、あるいは年代記のように、出来事が綴られる。しかしそこには様々なレトリックが積み重ねられ、次から次へと繋げられる。物語の筋は明かされない。物語に意味があるのでは無い。それはそこで起こったことであり、何故起こったかとか、その出来事に込められた意味だとか、そういった事ではないのだと思う。日常の延長から切り離された非限定の世界を描く言葉として、それがシュルレアリスムの方法だったのだろう。


アルゴールの城にて

アルゴールの城にて