うずくまる・いたみ
安部公房の初期短編集。
初期の頃に描こうとしていたのは、孤独だとか、自意識だとか、ある種の寓話だとか、そういったテーマを、正面から描いている。
「箱男」や「密会」、「砂の女」といった作品に見られる倒錯は無い。
孤独の中にうずくまる自意識、その自意識を押し留めることも出来ずに内側へと崩落してしまいそうな感覚、そんな感じがわかるだろうか?
例えば、朝から晩まで山手線に乗り続けて、一日を過ごす主人公の自己意識の痛みが判るだろうか?
決して読みやすい本ではないが、ここにある痛みは忘れがたい。
