夢マニア
- 作者: 安部公房
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1984/07
- メディア: 文庫
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他人の夢を聞かされることほど、つまらないものは無い、といったのは誰だったろうか?安部公房は夢を記録するために枕元にテープレコーダーを置いていたという。夢で得られた着想を育てて、小説へと仕上げたものもあるようだ。この本では、その一端が明かされている。その中でも、強迫観念的な夢や、観念的な夢、夢マニアならではとでも言えそうなものまである。かくいう私も一時期は枕元にノートを置き、夢を記録していた。そうするうちに、夢の中の夢の中の夢を自覚するような夢を見たりした。しかし、安部公房の記述する夢が、小説とあまり変わらないのは、結局のところ、夢日記におけるリアリティは、文章の力によるものだからだろう。カルロス・カスタネダによると、夢の中で自分の手を自由に見ることが出来るようになることが、夢見の技法の第一歩であり、戦士への道の入り口であるらしい。小説と同じくらい、この本は刺激的でもある。