この本も図書館で借りた。
組織ではない「チーム」というものをどう作り上げていくか、つまり「チーム・ビルディング」はどういうものか、という命題に対して、様々なテクニックを論じている。
著者は従来のチーム・ビルディングに関する参考書や研修といったものに対して、メンタル面が中心に取り上げられて、技術面の解説が薄かったことに不満を感じていたという。
前に読んだ山本七平の「空気の研究」との関連を考えてみる。
従来の組織が日本的な雰囲気の「空気」や「水」に支配された世界だとするなら、チームはそれとは異なる合目的的で機能的な集団のイメージであろう。
だが、なぜ技術面からのアプローチが必要なのだろうか。
メンタル面からのアプローチについて、それほど詳しくは知らないが、おそらく簡単なゲームや、グループ討議を通じて、チームの意義やあり方を認識するためのものであろう。
一方の技術面からのアプローチはこの本で詳しく書かれているように、チームを一つの集団としてその生成から終了までをテクニカルに記述してゆき、そこへ参画するメンバーの意識をコントロールしようとする。
前者は意識付けの面から効果を引き出そうとし、後者は動機付けを要求していく。
前者のアプローチにおいて「チーム」とはメンバーが帰属する集団であり、そこには従来の組織とは違った「看板」のもう一つの集団が作られるような気がする。
一方、後者のアプローチでは「チーム」とは一つのオブジェクト(客体)であり、そこは機能を発揮するための場であり、「プロジェクト」と言い換えても良いかもしれない。
そこに「空気」や「水」が存在するのかといえば、前者のアプローチであれば間違いなく存在するだろうし、それが「チーム」を成立させるための条件になることもあるように思う。
だが後者のアプローチの場合は、機能を発揮するための要素として存在することは可能かもしれない。
いずれの場合にせよ、「空気」や「水」は排除することはできないように思えてくる。
人や社会、共同体などを基盤としたビジネスの局面においては、山本七平が考察した頃とは、だいぶ様変わりしているような気もする。
だがそれは、ただ単にテクニカルな面だけを借用し、その深層が変わっていない事の現われかもしれない。

チームビルディングの技術―みんなを本気にさせるマネジメントの基本18
- 作者: 関島康雄
- 出版社/メーカー: 日本経団連出版
- 発売日: 2008/08
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