図書館で何となく借りてみた。
例えばこういった随筆を読んでいると、作者の生活がふっと見えるような気がする時がある。
そのイメージが合っているのか判らないが、自分の中の過去の映像と重なるように見える。
そこには作者の生活や思いが入っているからだろう。
この本に収められているような幸田文の文章では、自分が今まで意図的に選択してこなかった、あるいは選択できたかもしれない、ありうべきもうひとつの世界があるような気がしてしまう。
そう考えてしまうのは、現在の自分の傲慢さに他ならないことは自覚している。
もちろん時代も世間も全く異なっているのだけれど、幸田文的な人々のいる場所に自分もいたかもしれない、と思わせるのは何だろうか。
読み手の一方的な片思いに過ぎないのかもしれない。
そうありうべきだった自分への憧憬だとしたら、ただ単に疲れているだけなのだろう。
- 作者: 幸田文
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/02/09
- メディア: 文庫
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